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mάːmə

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[……]
 声が聞こえる。
 私は森の中にいた。いつからここにいるのか知れなかった。暗がりの向こうから木々がやってきて、私の側を行き、視界の端へと消える。ゆるやかに、なお絶えず流れゆく森の景色を見て、みすぼらしく、よたよたと歩く自分の姿を思い知らされる。
[……]
 声が聞こえる。
 私は恐怖した。それは私を呼んでいるのだ。
[……]
 私は走った。走っても声はついてきて、どこからともなく聞こえてくる。木々が枝に残した枯れ葉を鳴らす隙間に、裸足に踏みしめられた落ち葉が割れる音の隙間に、その声はあった。
「助けて!」
 救いを求める言葉を口にしたのは、これが初めてかもしれなかった。
 私の行く先、暗がりの遠くに、白い建物が見えていた。